こんにちは。今回は内部(体内)被ばくです。
まず最初に、体内被ばく、体外被ばくを区別しましょう。
体外被ばく、体内被ばくは、放射線被ばくが体内か体外かで区別しています。簡単ですね。
α線、β線は、飛程が短いため体内ですべて吸収されてしまします。そのことから、α線、β線放出する核種が重要になります。
放射性物質の体内への経路としては、経口摂取 吸入摂取 経皮摂取があります。
それぞれ見ていきます。
経口摂取です。口から飲み込み、消化管で吸収される経路です。放射性物質で汚染されたものを食べることが主な原因となります。
消化管吸収率があり、セシウム、ヨウ素で100%、ストロンチウムで30%などとなっています。
対策としては、放射性物質を扱う管理区域内では、飲食、喫煙、化粧などはしてはいけないことになっています。
吸入経路です。
呼吸より気道から侵入し、肺または気道表面から吸収される経路です。気体状の放射性物質の吸入が原因です。
対策としては、換気されているところでの取扱、最初からその物質が気体や気化しやすいとわかっているのならフード内で取り扱います。
経皮経路です。
皮膚や粘膜を通じて放射性物質が吸収される経路です。皮膚に傷があると侵入しやすくなります。
対策としては、作業する際は皮膚を出さないようにし、手袋を装着することになります。
体内に入ってきた放射性物質は、核種によって集積する臓器が異なります。また、その核種の化学的状態(気体だったり液体だったり)によっても異なります。
どの臓器に集まりやすいかという性質のことを臓器親和性といいます。
臓器親和性は表に一部まとめました。臓器親和性なので何らかのつながりがあります。
例えば、32P(リン)です。骨の主成分はリン酸カルシウムとタンパク質です。リンが出てきましたね。
59Feは、鉄ですね。鉄は、赤血球の中のヘモグロビンをつくるための材料です。そうすると、血球を産生する骨髄、血液の一部を作ったり、古くなった血液を壊す肝臓、血液の貯蔵プールがある脾臓と
赤血球に関連ありますね。
調べてみると他にも多くあります。
そこで、とくに骨に集積しやすい核種のことを「骨親和性核種」といいます。
体内に取り込まれた放射性物質は各々の臓器に分布し、糞や尿、汗など排泄機構によって排泄されます。生物学的排泄により、
体内量が半分になるまでの時間を生物学的半減期といいます。
体内に取り込まれた放射性核種は、その核種自体の半減期(物理学的半減期)と排泄機構による排泄(生物学的半減期)の2つで減少します。
この2つをあわせて、体内の放射性物質が半分になるまでの時間を実効半減期といいます。
黒板にあるような関係になります。
最後に内部被ばくの測定方法です。体内に取り込まれた放射性物質の放射能を測定することが目的です。
代表的な方法として2つあります。
①全身カウンタは、全身放射能測定装置を用います。体内から出てきた放射線を測定しますので、透過力の高い放射線のみが測定することが可能となります。
α線、β線は飛程が短いので体外へ出てくることができないので、測定することができません。
②バイオアッセイ法は、糞や尿などの排泄物から放射能を測定し、排泄率関数というものを用いて体内の放射性核種の濃度を測定する方法です。
いずれの放出核種でも測定は可能ですが、測定するための試料採取が手間である欠点や、代謝には個人差もあるので、体外計測法に比べると精度は落ちます。
これで、今回の講義は終わりです。臓器親和性の核種はしっかり覚えましょう。お疲れ様でした。
コメント