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放射性壊変Part2

放射性壊変

γ線放出についてです。

α壊変やβ壊変で生じた娘核種が基底状態とはならず、励起状態になる場合もあります。その場合、励起状態から基底状態になるのにγ線が放出されます。

その励起状態の核種を、基底状態の核種と区別して「核異性体」といいますそしてγ線を放出して安定な状態へ遷移する現象の事を核異性体転移(Isomeric Transition:IT変換)といいます。

壊変の例として、99Moを示します。この例は、非常に大事ですので、半減期、エネルギーとも覚えるべきです。

エネルギーの高い順位から低い順位へγ線を放出するので、放出されるγ線のエネルギーはエネルギー準位の差になります。

今度は内部転換についてです。励起状態からγ線を放出せずに、そのエネルギーを軌道電子に与えて転移する場合を内部転換といいます。放出される電子を内部転換電子といいます。

γ線放出と内部転換を区別すると、

励起状態から基底状態になるのに、原子核はエネルギーを放出して基底状態になります。そのエネルギーがそのまま原子の外に放出されるのがγ線(左)で、そのエネルギーが軌道電子にぶつかり、そのエネルギーを軌道電子に与えて、軌道電子が放出されるのが内部転換(右)です。

内部転換によって軌道電子が放出されると、軌道に空席ができ、特性X線またはオージェ電子が放出されます。これは勉強済みの人ならわかると思いますが、光電効果のときと一緒ですね。後で講義しますので安心してください。

以上の事より、γ線放出と内部転換は競合することはわかりますね。

軌道電子が放出される理由はもうすでにわかりましたね。

そうすると、

放出される内部転換電子のエネルギーはγ線のエネルギーから軌道電子の束縛エネルギーだけ小さくなります。よって黒板に示した式のようになります。


γ線放出と内部転換は競合します。割合はどうなるでしょうか。

γ線の放出に対する内部転換電子の放出割合を内部転換係数と言います。これが内部転換電子が放出される割合になります。

内部転換の重要な特徴について黒板に示しました。

発生の原理を考えるとこれらの特徴は理解できますね。

続いて、自発核分裂についてです。

質量数の大きな原子核(Th以上)では陽子数も増え、原子核内のクーロン力による反発エネルギーが大きくなり、核分裂がおきます。これを自発核分裂といいます。

名前のように、自発ですので、他の原子や電子がぶつかるという事はありません。

自発核分裂の際、2~3個の中性子が同時に放出されます。

自発核分裂の中性子線源として利用される252Cfは割合が約3%と大きいです。252Cfは自発核分裂の核種として重要なので覚えておきましょう。

ここまでは、壊変の種類について見てきました。ここからは壊変自体について見てみましょう。

放射性壊変する核種を用意したとします。

1個の原子核だけを観察したとき、その核種がいつ壊変するかはわかりません。

しかし、一定の量の原子核を観察すると、単位時間によって放射性壊変が観測することができます。この観察する量が増えると、その分放射性壊変する数も増加すると考えられます。

よって、単位時間当たりの壊変数は原子核の量に比例すると言えます。この比例定数を壊変定数といい、λと書きます。

壊変について様々な式を黒板に示しました。上から、壊変法則、半減期と壊変定数の関係、放射性核種の原子数、放射能になります。

壊変法則は、さっき説明したように、壊変数は原子核の量は壊変定数に比例するということをさしています。ーdN/dtというのは、難しく考えないでください。dって言うのは微少と考えてください。

微少時間当たり微少な数の原子数がマイナス(減少)するということ。もともとの原子の量が壊変によって減るのでマイナス表記になります。

そして、半減期と壊変定数はこのような関係にあります。ln2=0.693はよく使いますので覚えましょう。

放射性核種の原子数、放射能は経過時間tとの関係です。

これらの式は重要ですし、計算でもつかいますので覚えましょう。

N=N0 (1/2)^(t/T)について軽く説明します。

最初にN0個の原子があります。今は簡単に16個あります。

半減期は、原子の数が1/2になる時間のことを言います。

そうすると、

半減期分の経過時間がたつと原子の数は1/2になりますね。8個になります。

さらに半減期分の時間がたつと原子の数はさらに1/2になり、最初のN0からだと1/4になりますね。4個です。

これを時間に対する原子の数でグラフに示すと黒板にあるようになります。

壊変図式についてです。

例として40Kについて示します。

水平方向は原子番号の変化です。右の方が原子番号が高くなります。垂直方向はエネルギー準位についてです。エネルギーが低いほど下に行きます。

点線で示してますが、グラフではないので0とか数字があるわけじゃないので注意してください。

これで放射性壊変Part2を終わります。お疲れ様でした。

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