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放射線生物の放射線利用

こんにちは。今回は放射線生物の放射線利用というタイトルで講義していきます。

これまで、放射線の影響について見てきましたが、

実は、放射性同位元素は生化学的な実験や、医学にも利用されています。それについて見ていきたいと思います。

まずは、生化学領域の話です。生化学領域では、トレーサ実験として放射性同位元素が用いられます。

トレーサ実験とは、物質中の安定同位元素を放射性同位元素で置き換え、その物質の動きを調べることができる方法です。

置き換えることを標識といい、置き換えられたものを標識化合物といいます。

同位元素での置換ですので、化学的性質は同じです。そのため放射性同位元素で置換されたものは、化学的挙動は同じであるためトレーサ実験ができるのです。

よく使用される核種は、14C、3H、32P、35Sです。

ここで、試験でよく問われる標識化合物とその利用を黒板に書きました。

このように、標識化し、その標識化合物をもちいて、測定を行うことができます。

[α-32P]dCTP⇒塩基配列決定は、DNAを構成するリンを[α-32P]dCTPで標識して、塩基配列の分析を行います。

次は、核医学での放射性同位元素の利用を見ていきます。

核医学では、診断(検査)と治療があります。

検査では、インビボ検査とインビトロ検査があります。

インビボ検査は、放射性核種で標識した薬剤を静脈注射し、体内から放出される放射線をガンマカメラで受け取り、画像化することで薬剤の分布を画像化します。

インビトロ検査は、体外に出された血液や尿などの排泄物等から定量して病期の診断を行うものです。

インビトロ検査ではほとんど125Iが使用されています。

インビボ検査で得られた画像をシンチグラフィとよびます。

そして、シンチグラフィで得られたデータからコンピュータ処理により断層画像が得られ、SPECTとよびます。

核医学の検査で行われるのは、インビボ検査です。

黒板には核医学検査として使用される製剤の一部を示します。

次は、核医学検査の1つであるPET検査についてです。

PET検査は、陽電子断層撮影法を用いた検査です。陽電子放出核種で標識した化合物を用いて検査します。

物理でも講義しましたが、放出された陽電子が物質中の電子と反応して2本の消滅放射線(消滅γ線)を放出します。

その2個の消滅γ線を同時に検出して、コンピュータ処理することで画像を得る検査になります。

ここで、黒板にPET製剤と検査の表を示します。

良く用いられるのは、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)です。がん細胞は分裂が盛んでエネルギー消費が大きく、ブドウ糖代謝です。FDGはブドウ糖類似体ですので、がん細胞に取り込まれ、

がんの検出に使われます。放射線技師国家試験でもよく問われます。

主任者試験では、黒板にある表をしっかり覚えましょう。

他にも、放射性同位元素を用いた治療があります。

黒板に示したようにあります。

これで、今回の講義は終わりです。お疲れ様でした。

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