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核反応

核反応

こんにちは。今回は核反応についてです。できるだけ言葉をかみ砕いて説明していきますが、ちょっとこの辺から難しくなってきます。

まず、核反応とは原子核反応ともいい、原子核と中性子や陽子などとの衝突によって生じる現象の総称を言います。原子核の反応です。

核分裂や核融合も核反応の一種であります。

核反応は黒板にあるように書きます。入射粒子、標的核、出射粒子、生成核とこのように書きます。

この書き方はわかりやすいですよね。反応前→反応後でわかりますもんね。

そして、放射性壊変の時もありましたQ値です。

反応前後の質量差をエネルギーに換算したものですね。

Q値が正なら発熱反応、負なら吸熱反応です。発熱反応は反応の時熱を発生し、吸熱反応は、反応の時熱を吸収して反応します。

発熱反応の場合、入射粒子が荷電粒子だった場合、原子核は正電荷なので、クーロン力による反発力が働きますので、α壊変のときにあったクーロン障壁のように、反発力を超えるエネルギーが必要となります。

吸熱反応では、入射粒子のエネルギーがQ値超えないと反応は起きません。

このように核反応を引き起こすのに必要な最低エネルギーがあり、それを核反応のしきい値といいます。

核反応が起こる断面積(確率)についてです。入射粒子が物質を照射した時標的核と衝突する確率です。

入射粒子が毎秒S cm2に1個の割合で照射されるとします。

標的核の原子の密度をN、物質の厚さをlとすると、S中の原子数はSlN個となります。

原子核の断面積をσとすると、S cm2中で原子核の面積はσ SlNになります。

よって毎秒単位面積当たりの核反応が起こる確率Pは、σlNと書けます。

σは核反応断面積といい、核反応断面積を表す単位としてb(バーン)が使われ、1b=10-24 cm2であります。

モルと同じですね。1mol=6.02×1023 個と同じです。

計算問題の時に単位の変換が必要なので注意してください。

ここで、少し脱線します。

次に粒子フルエンスという単語が出てくるので、フルエンスについて説明します。粒子のフルエンスだから粒子フルエンスですね。

フルエンスとは、方向に関係なく、粒子が単位体積にどれくらい入るかを示した量のことです。

入射粒子は一定の方向から物質に入っていくわけじゃなくて、いろいろな方向から入っていきます。そこで、標的核の物質中にある範囲を決めて、そこに何個の粒子が入ってきているのかを示しているのがフルエンスです。

図は2Dですけど、実際は3Dなので、奥側から手前にも入ってきています。式としてはdが出てきてますが、難しく考えなくて良いです。dは微少という意味です。

そうすると、微少面積に微少個入ってますよってこと。ここの図だと、3個入ってますね。

単位は(個)/cm2。個は単位じゃないので、かっこを付けてます。黒板には書いてませんが、こっちの方が個人的に意味がわかりやすいので使ってます。

フルエンス率は毎秒当たりのフルエンスを言います。これはもうわかりますね。1秒間で微少面積に微少個入ってますよって事ですね。単位は(個)/cm2・sです。

放射性核種の生成についてです。この式は重要です。

放射化学の放射化の分野で出てくる式ですが、先に紹介しておきます。

計算問題がよく出題されているので、手計算できるようにしましょう。

これは、生成核種の半減期と照射時間の関係を表したもので、飽和係数です。

半減期Tは固定で、tが照射時間で変動します。照射終了して、時間が十分経つと放射能の式になります。

放射化の計算の時に、問題で粒子フルエンスとか、放射化断面積が与えられているのに、「照射終了後○時間後の放射能は?」とか聞かれますので、注意が必要ですね。

ここからは、核反応の種類についてです。ここから先の講義は細かく覚える必要はありませんので、気軽に眺める感じで見てみてください。

入射粒子が陽子のときの反応です。陽子のエネルギーによって様々な反応が起こります。

最初の方に説明しましたが、陽子は正の電荷をもった荷電粒子で、原子核も正の電荷をもっています。

クーロン力による反発力で、原子核に近づくほど反発力が高くなります。α壊変と同様にクーロン障壁のような高いエネルギーがないと、原子核の中に入っていくことができません。

そのエネルギーが約10MeVぐらいです。

核反応の断面積をエネルギー関数で表したものを励起関数と言います。次に示します。

このように入射してくる陽子のエネルギーによって様々な反応が起こります。起こる断面積が変わってきます。

もちろん、このグラフを覚えたり、エネルギーと反応を覚える必要はありません。

核反応では、表記の仕方、反応の前後で質量数や原子番号の増減がわかることが大事です。

今度は、入射粒子が軽イオン、重イオンの時の反応です。

入射イオンが陽子、重陽子、ヘリウムの場合に軽イオン反応、それよりも重い粒子を重イオン反応といいます。重イオンだと炭素線があります。

この反応は、エネルギーが低い場合、陽子の時の反応とほぼ同じです。

エネルギーが高くなると他の反応も起こります。例えばですが、入射粒子がα線(ヘリウム原子核)の場合、エネルギーが高くなると、複数の中性子を放出します。

次に電子が入射してくる反応についてです。

電子が物質に入射すると、

電子が直接原子核と反応する場合と、物質内で制動放射により光子を発生し、その光子が原子核反応を起こす場合とがあります。

電子との反応では、電磁相互作用(=電場あるいは磁場から電荷が力を受ける作用)により、光子が形成され、その光子が原子核に吸収されて原子核が励起します。

光子を吸収する場合を巨大共鳴といいます。原子核内の陽子と中性子がそれぞれ集団で振動している状態です。その後、核子が放出されます。

続いては、核分裂反応です。試験では、核分裂反応がよく出題されています。

質量の大きい核では、分裂することによって安定な状態になります。クーロンエネルギーが高くなり分裂しやすくなります。

質量の大きな核に粒子が入射してきて、核子が励起し、エネルギーが高くなると分裂が起こります。そしてその際に2~3個の中性子が放出されます。

励起エネルギーがクーロン障壁を越えると核が分裂します。クーロン障壁はもうわかってますね。もう難しくは感じないでしょう。

2つの核への分かれ方はこのようになってます。このような分布になっています。熱中性子による235Uの核分裂としてよくこのグラフは見かけると思います。

質量数が95~100、140付近の2つに分かれます。

核分裂によって生じる核種はどれかみたいな問題がよくあります。簡単ですね質量数が95~100、140付近の2つの核種選ぶだけですね。

核分裂の際に中性子が放出されますね。その中性子が熱中性子となり、またUに吸収され、また中性子が放出され…と繰り返されますね。これが原子力発電の原理ですね。

放射化についてです。非放射性の核種が核反応によって放射性同位元素になることをいいいます。

多くの核種は短半減期核種ですが、たまに長半減期核種も生成されます。

放射化が起こる過程として、粒子がクーロン障壁を越えて核反応が起きた際に生じる中性子によって別の核反応が起き、放射性同位元素が生成されます。

最初の方にあった式覚えてますか。放射性核種の生成の式です。これがここにつながるのです。

以上で核反応について終わります。お疲れ様でした。

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