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細胞レベルの影響 細胞生存率曲線

細胞生存率曲線

こんにちは。今回は細胞レベルの影響の細胞生存率曲線です。

LQモデルとかです。ゆっくり見ていきましょう。

細胞生存率曲線は、細胞生存率を縦軸に対数でとり、線量を横軸に線形目盛(普通目盛)でとる片対数表示されたものです。

基本的な、言葉の使い方や基本形状は同じですが、提唱されているモデルによって少しグラフの形状が変わってきます。

グラフの形は、線量が増大するほど、生存率は低下しますので、右下がりのグラフになります。

高LET放射線では、直線、低LET放射線では、線量増大に対して緩やかなカーブをして低下します。緩やかなカーブの部分を「肩」とよんでいます。

標的説による生存率曲線について説明します。

標的説は細胞はいくつかの標的(まと)をもち、その標的(まと)がすべて放射線にヒットされると細胞は細胞死するというものです。

標的数が1でその標的が1ヒットを受けると細胞死する1標的1ヒットモデル、標的数が複数で、それぞれの標的全てにヒットを受けて細胞死する多標的1ヒットモデルなどがあります。

黒板にあるのは、1標的1ヒットモデルです。

言葉の説明です。

平均致死線量です。生存率曲線の直線部分で生存率が37%となる線量のことを言います。

なぜ37%なのでしょうか。

放射線による標的のヒットはランダムな現象です。同じ標的に2回、3回ヒットすることもあれば、ある標的にはヒットしないこともあります。

確率論的な話です。標的に平均1個の放射線が命中する放射線を照射した場合、ヒットを免れる標的の割合は37%と計算されます。

要するに全体の37%の細胞が障害を受けずに生き残ることになります。

したがって、直線部分で37%の生存が得られるということは、標的に平均1個のヒットが生じることから、放射線感受性の指標として用いられています。

D0が小さい方が細胞の放射線感受性は高く、同じ細胞に異なる放射線を照射したとき、小さなD0を与える放射線の方が致死効果が高いです。

外挿値です。肩を持つ生存率曲線の直線部を延長して縦軸との交点をいいます。理論的な標的数を表す。

これは、平均致死線量の説明を理解できれば、すぐわかると思います。

見かけのしきい線量です。直線部分の延長が生存率1.0の線と交わる線量のことをいいます。

肩の大きさを反映しており、回復の指標となります。

大きい方が亜致死障害の回復能が大きいです。亜致死障害は後の講義で出てきます。

次は、LQモデルによる生存率曲線です。

標的説では、うまく説明できていない部分があり、実験等でも正確ではなかったことより、LQモデルが考えられました。

直線ー二次曲線モデルとも言われます。有効致死損傷を1本鎖切断よりも修復が困難で細胞死につながる2本鎖切断であると考えられたモデルです。

このモデルが生物実験等で適合することが確認されています。

放射線の細胞死の原因は、DNA2本鎖切断です。

放射線が照射され、2本鎖切断が起こるのは、1つの放射線で2本鎖切断される場合と、2つの放射線で2本鎖切断される場合とあります。

前者は高LET放射線で線量に比例しS=e-αD、後者は低LET放射線で線量の2乗に比例しS=e-βD2となり、それの和となります。

LQモデルは右の図のようになります。

αD=βD2のとき、1ヒットでの細胞死と2ヒットでの細胞死の数は等しく、D=α ∕ βが得られ、

曲線を特徴つけるパラメータとなります。

α ∕ βの解析をすることで、細胞の修復機構や分割照射の計算など重要な情報が得られます。

α ∕ β比が大きくなると、曲線は直線に近づき、小さくなると肩が大きい曲線を描きます。

一般に正常細胞の急性障害は10Gy程度で、晩発障害は1~4Gy程度です。

腫瘍組織では10Gy程度です。

放射線治療の治療法の多分割照射はLQモデルから提唱された治療法になります。放射線治療などで見聞きすることが多いです。

以上で今回の講義は終わりです。問題演習するとより理解が深まると思います。

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