こんにちは。今回は加速器についてです。試験では、組み合わせを選んだり、回路についてだったり、ざっくりとした内容の理解で十分だと思います。
講義の最後に組み合わせをまとめたものがありますので、参考にしてください。
まずは、加速器の原理についてです。
荷電粒子が標的核と衝突して原子核反応を起こすためには、クーロン障壁を越えるエネルギーを荷電粒子が持たないといけません。しきいエネルギーのある核反応でもそのしきい値を超えるエネルギーが必要になります。
粒子のエネルギーの式はE=1/2 mv2で与えられますね。
質量は変化しませんので、エネルギーを高くするにはvを大きくすれば良いとわかりますね。そこで加速器を用い、荷電粒子を電場で加速させ、エネルギーを高くすることができるのです。
これが加速器を使用する理由と、ざっくりとした大きな原理になります。
電場によって加速させるので、荷電粒子が中性原子では加速できないので、イオン化させて加速させます。
イオン化する装置をイオン源といい、元素の気体、固体に限らず、イオン化します。
加速する電場に直流電場を用いる場合と、高周波電場を用いる場合とがあります。また、ここでは紹介しませんが、ベータトロンという加速器では加速電極はなく、磁場の時間的変化により生じる誘導電場で加速します。
直流磁場を用いた場合、加速エネルギーは、加速電極の両端の電場をV、イオンの電荷をzeとすると、E=zeVと与えられます。
高周波を用いた場合、磁場を用いて荷電粒子を周回させる装置と、直線的に加速する装置があります。
ここからは加速器の種類について、試験に問われるものを説明します。
まずは、コッククラフト・ウォルトン加速器です。
整流器とコンデンサで高電圧を発生させ、粒子を加速します。2MV程度までの加速で用いられます。
原理図は黒板にあるようになります。 また、この加速器は、加速器を組み合わせた複合加速器の初段の加速器として用いられる事もあります。
ファン・デ・グラーフ加速器です。
絶縁ベルトに電荷をのせ高電圧部に電荷を運び高電圧を発生させ、粒子を加速させます。
2~10MV程度の電圧が用いられます。
原理図は黒板に示してます。この加速器は、電圧を精密にコントロールできるので、原子核構造などの精密実験に用いられます。
直線加速器についてです。
円筒状の電極を直線状に並べた形の加速器です。線形加速器とも言います。
この加速器は、円筒を通過することで加速されます。そのため速度0から加速することができないので、コッククラフト・ウォルトン加速器などの前段加速器と組み合わせて用いられます。前段加速器である程度まで加速し、そこから直線加速器で、より加速します。
サイクロトロンです。荷電粒子が一様の電場中で円を描きながら加速します。
一様の磁場中にD型の電極を対になるように置き、その間のところで加速され、軌道半径がどんどん大きくなりながら加速します。
シンクロトロンです。
エネルギーが高くなると、相対論的効果でサイクロトロンによる加速ができなくなります。そこで、シンクロトロンが使われます。加速とともに磁場を変化させ、同一軌道を周回させます。前段加速器と組み合わせて加速します。
最後に加速器の種類のまとめです。よく聞かれますので、このまとめと一つ一つの種類の原理図は覚えましょう。試験で問われたら必ず正解したいですね。
以上で加速器について終わります。お疲れ様でした。
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