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放射線の影響

放射線の影響

こんにちは。今回は放射線の生物への影響についての講義です。

放射線の影響は、被ばく線量と影響の発生頻度の関係より、確率的影響と確定的影響に分類されます。放射線防護の観点より分類されます。

この違いは、しきい線量の有無、線量と影響の重篤度の関係があります。

それでは、1つ1つ見ていきましょう。

確定的影響の特徴は黒板に示した通りです。

しきい線量があります。しきい線量があるということは、しきい線量を超えないと影響は発生しません。もちろん人によって影響は変わってきますので、

しきい線量を超えたら必ず影響が出るというわけではありません。ICRPが影響が現れる最低の線量をしきい線量としています。

確定的影響は、臓器や組織を構成する細胞が細胞死あるいは機能不全を起こすことに基づく影響です。そのため、その細胞に細胞死が起きたところで影響が現れてきます。

その線量がしきい線量になってます。

しきい線量を超え、さらに大きな線量を被ばくした場合、影響は重篤度が増大します。これもわかりますね。細胞死を起こす細胞がどんどん増えていき症状は重くなっていきます。

確定的影響は、確率的影響以外の全ての影響が分類されます。

のちに覚えることになりますが、しきい線量はある程度覚える必要があります。その時になったら出てきますので覚えてください。

確率的影響についてです。同様に特徴を示しました。

しきい線量はないとされています。

線量が増大すると、影響の発生頻度が高くなります。

その理由は確率的影響は突然変異に基づく影響であり、線量が増加すると突然変異が起こる確率高くなります。

確率的影響に分類されるのは、放射線発がんと遺伝的影響です。DNAの損傷が体細胞・生殖細胞に起きるとがんに、生殖細胞に起こると遺伝的影響になりうります。

ここで、確定的影響と確率的影響の線量による変化の違いを見てみましょう。

左が確定的影響で、線量が増大すると、重篤度が増大します。

右が確率的影響で、線量が増大すると、発生頻度が増大します。これは重要ですので、黒板の図は覚えましょう。

確率的影響での、線量増大による重篤度は線量の大きさによらず一定です。少ない線量の被ばくによる1つの細胞の突然変異による致死がんでも、

大きい線量の被ばくによる多数の細胞の突然変異による致死がんでも、死に至るがんとしては変わらないので、重篤度は線量の大きさで変わらないといえます。

もうひとつ重要な分類として、身体的影響と遺伝的影響があります。それについてやっていきます。

まずは、身体的影響です。放射線の影響が被ばくした本人に現れるものを身体的影響といいます。

遺伝的影響は被ばくした本人ではなく子孫に及ぶものをいいます。遺伝子の変化が子孫に伝えられて引き起こしたものです。

そして、影響が現れるまでの期間により、早期影響と晩発影響に分類されます。

被ばく数週間以内に現れるものを早期影響、被ばくから何ヶ月後、何年後に現れるものを晩発影響といいます。

身体的影響は早期、晩発両方ありますが、遺伝的影響は晩発しかありません。それは、遺伝的影響は被ばくから発生まで少なくとも受胎期間40週あります。晩発ですね。

大部分の確定的影響は早期影響です。晩発なのは、白内障、再生不良出血、肺線維症があげられます。

確定的影響で生じる障害は身体的影響で、その身体的影響の中で様々な症状がある中、早期影響と晩発影響に分類されます。

確率的影響で生じる障害は遺伝的影響と発がんですね。それらの症状は晩発影響です。

これらは重要なので覚えましょう。

ここで注意です。

妊娠中の女性のおなかの中にいる赤ちゃんが被ばくしました。(お母さんのおなかを通して被ばく)

生まれてきた赤ちゃんに放射線の影響が発現しました。

このとき、赤ちゃんの影響は身体的影響か遺伝的影響かどちらでしょうか。

答えは身体的影響です。

遺伝的影響は、被ばくした本人ではなく子孫に及ぶものをいいますので、今回被ばくしたのは赤ちゃん本人ですので身体的影響になります。

赤ちゃんを授かっておらず、女性が被ばくをし、その後妊娠し出産した子に影響が出現した場合、遺伝的影響になります。

以上で、放射線の影響の講義を終わります。お疲れ様でした。

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