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細胞レベルの影響 放射線障害の回復

こんにちは。今回は、細胞レベルの影響の放射線障害からの回復についてです。

放射線障害の回復は先に言ってしまうと、SLD回復とPLD回復の2つがあります。それではゆっくり見ていきましょう。

放射線照射された細胞は、無傷の細胞、亜致死障害を受けた細胞、致死障害を受けた細胞と分類されます。

標的理論で話すと、細胞はいくつかの標的をもっていて、その標的全てが放射線にヒットされると細胞は死ぬとされていますね。

そして放射線は確率論ですので、放射線が照射されても標的に1個もヒットせず、無傷の細胞。

亜致死障害は、細胞内の標的いくつかがヒットを受け、ヒットを受けていない標的が残った状態を亜致死障害といいます。

致死障害は、標的全てが放射線にヒットを受け、細胞が死に至る障害です。そのまま死んだら細胞死です。

回復の2つはこの亜致死障害からの回復のSLD回復、本来死に至るはずだった致死障害からの回復で、潜在的致死障害からの回復のPLD回復です。

詳しく見ていきましょう。

亜致死障害の細胞は死亡することなく数時間で障害を回復します。

そのことから、1回目に照射した線量と同じ線量を2回に分けて、間隔を空けて照射すると、

最初の照射で生じた亜致死障害が回復してから2回目の照射を受けるので細胞が致死障害になる細胞を減少させることができ、

結果として細胞生存率が上昇することになります。この流れが亜致死障害の回復です。

図で説明すると、例えば、10Gyの放射線を照射した際に、細胞は致死障害で細胞死してしまします。

しかし5Gyずつ2回に分けたとすると、1回目に5Gy照射し、その細胞は亜致死障害となり、数時間で回復し、無傷な細胞に戻ります。

そこに2回目の5Gy照射するとまた同じことが繰り返され、照射された細胞はまた無傷な細胞に戻ります。

この回復は5~6時間程度で完了します。

このグラフを参考書とかでよく見ると思いますが、理解できない人も多いのではないでしょうか。ゆっくり確認してください。

さっきの例の話を生存率曲線で書きました。たとえ話と絡んでますので、たとえ話のイメージを思い浮かべながら見てください。

まずは1回目の照射したときが白い線です。5Gy照射し、回復してから2回目の照射5Gyを行ったのがオレンジ線です。

もし、1回目の照射後に損傷の回復がなかった場合、2回目の照射した際の生存率曲線は1回目照射の白線と重なります。

生存率曲線からもわかるように1回目で10Gyで照射したときの生存率と、5Gyを2回に分けて照射したとき計10Gyのときの生存率を比べると

分割した方が生存率は高くなっています。

低LET放射線はSLD回復が見られる

同一線量率が照射される場合、高線量率で短時間に照射するよりも、低線量率で長時間で照射した方が細胞の影響は小さくなる→線量率効果

高LET放射線ではSLD回復は小さく、線量率も小さいです。

SLD回復は、端的に言うと

1回照射の線量を2回に分けると細胞の生存率が上昇する現象のことです。

次はPLD回復です。

致死障害を受けた細胞は本来、細胞死します。

しかし、致死障害を受けた細胞が、細胞増殖抑制環境に置かれた場合、損傷が回復することがあります。

そのことから潜在的致死損傷からの回復といいます。PLD回復です。

細胞の増殖が抑制されるような場合は、周りの環境が低栄養状態ではこの回復が起こりやすいです。低栄養などでは、細胞が増殖しにくくなるからです。

PLD回復は照射後1時間以内に終わるもの、2~6時間かかるものの2種類あります。この時間を過ぎて細胞の環境を変えてもPLD回復は起きません。

また、高LET放射線ではPLD回復が小さいです。

この回復は放射線治療で利用されています。腫瘍細胞とそのまわりの正常細胞の回復能の違い、細胞によるPLD回復の違い等が考慮されています。

以上で、細胞レベルの影響 放射線障害の回復を終わります。お疲れ様でした。

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