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X線の発生

X線の発生について

こんにちは。今回は、X線の発生についてです。「放射線といったらX線!!」みたいなのありませんか?

よく検査で用いられてますよね。X線写真や胃のバリウム検査とか、X線CTとかね。放射線技師が検査で用いる放射線ですね。

それでは、X線の発生について見ていきましょう。X線の発生を見ていくとX線がどういうものかわかると思います。

まず、X線は1895年にレントゲンさんによって発見されました。これは、年も有名ですね。

レントゲンの奥さんの指輪のついた手のX線写真が有名ですね。見たことない方は、一度調べてみると良いですね。最初のX線写真ですので。

ちなみに放射線の検査は、1895年にX線が見つかった翌年の1896年からX線を使って検査されるようになりました。

X線やγ線は、電波や光と同じように電磁波の一種です。X線は原子核の外で電子の運動に伴って発生する光子で、γ線は原子核の内で核子の運動に伴って発生する光子です。

X線管によってX線を発生させてます。X線管の中は真空になっており、その中に、陰極側にフィラメント(黒板の左図)、陽極側にターゲット(黒板の右図)があり、回路でつながっています。

フィラメントで熱電子を発生させ、フィラメントとターゲットの間に高電圧をかけ、熱電子を加速させ、高速の熱電子をターゲットに当ててX線を発生させます。

ターゲットでX線が発生しますが、発生の仕方は2種類あります。発生の仕方の違いから、制動X線と特性X線があります。それぞれ見ていきましょう。

ターゲットに達した高速の電子が、原子核付近を通過すると、原子核の電場によって強く曲げられ制動を受けます。制動とは運動体の運動力を急激に抑えて止め、また速力を落とすことです。

高速電子は負の電荷をもっていて、原子核は正の電荷をもっているのはわかりますね。原子核付近を通過したとき負の電荷が正の電荷に引きつけられて方向が曲げられてる感じです。

制動を受けた際に失ったエネルギーをX線として放出しているのです。

このようなX線を制動X線といいます。

今度は、高速の電子が、ターゲット中の原子の軌道電子に対しエネルギーを与え電離、励起が起きます。

その際に軌道内に空席ができ、そこに高エネルギーの軌道の電子が転移します。

そのエネルギーの差分をX線として放出します。これが特性X線です。

軌道電子がk殻へ転移する時のX線をk系列もしくはkX線と言い、L殻へ転移する際はL系列またLX線といいます。

そして、k系列の中でL殻からの転移をKα線、M殻からの転移をKβ線と言います。

これは言葉だけでも知っておいてほしいのですが、水素の場合、k系列をライマン系列、L系列をバルマー系列、M系列をパッション系列と呼ばれています。ライマン系列って言う名前は知っておいてください。

X線管から発生したX線の波長分布です。波長分布って書いてるけど、黒板ではエネルギー分布になっているかはわかりますね。E=hνの式から波長→エネルギー求められますね。

制動X線は山型の連続スペクトル部を形成し、特性X線は線スペクトルを示します。制動X線と特性X線は分けて発生するのではなく、高速の電子がターゲットにぶつかってX線が発生したときにどっちも起こります。

なんで山型になってるかというと、放出されたX線は、測定器に届くまで、真空管や、絶縁油などいくつかのものを透過しています。黒板では真空管の中の構造しか書いてなかったのですが、まわりにいくつかの部品とかで囲まれています。そこで短い波長のX線が吸収されるため山型になるのです。

連続スペクトルである制動X線の全強度は、黒板に示した通りです。これは実験的に確かめられています。

X線管に加わる電力に対するX線の全強度より、発生効率が求められます。

X線管のX線の発生効率はおよそ1%しかないのです。発生効率は管電圧とターゲットの原子番号に依存します。1%以外は何になっているかというと

ほとんどが熱としてエネルギーを放出しているのです。あとは音とかです。

今度はオージェ電子の話についてです。

励起状態の原子は、励起エネルギーをX線として放出したのが特性X線でした。その励起エネルギーを軌道電子に与えて、軌道電子が放出され電離が起こる場合があります。この現象をオージェ効果といい、放出された電子をオージェ電子といいます。

動画で、流れを確認してください。

この一連の流れより、オージェ電子のエネルギーは、特性X線のエネルギーより軌道電子の束縛エネルギーだけ小さくなります。

特性X線とオージェ電子放出は競合します。

電子軌道当たりに放射される特性X線の割合を蛍光収率と言います。

原子番号に対する蛍光収率はこんな感じです。

原子番号が大きくなると、蛍光収率が大きくなります。特性X線が放出される確率の方が高くなります。

逆にオージェ電子の放出確率は「1-蛍光収率」となります。

X線の発生については以上で終わります。お疲れ様でした。

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